りびんぐボイス

auが次世代衛星通信サービスによる取り組みを発表

うちだなほこ

2023/09/02

 KDDIは2023年8月30日、最新の衛星通信サービス「スターリンク」とauスマートフォンとの直接通信サービスの提供に向けて、米国にあるスペースX社と業務提携を結んだことを発表。KDDIはアジア初のビジネスパートナーとして大きな注目を集めている。

 法人向けの「スターリンク」サービスはすでに運用されており、次はスマートフォンに付随した個人向け直接通信サービスとして、2024年内を目安に提供開始していく予定。

 スペースX社が開発した次世代の衛星通信サービス「スターリンク」とKDDIのau通信エリアを活用することで、auスマートフォンが衛星と直接つながり、空が見える状況であれば圏外にいる状況でも通信をすることが可能となった。

次世代のエリアカバーを実現

 日本の地形は山間部や小さな島が多数存在していることから、日本の国土面積に占める可住地面積率は小さく、国土における4G LTE面積カバー率は約60%にとどまっていた。そのため、基地局の設置が地理的に困難なエリアをどのようにカバーしていくのか重要な取り組みとなっていた。

 これまでもKDDIは通信エリアの拡大を進めてきたが、新たにスマートフォンが衛星につながることで、国内全体にauの通信網を拡大しスローガンである「日本のどこにいても、つながらないがなくなるように」を目指していく。まずはSMSなどのメッセージの送受信から開始し、音声通話やデータ通信にも順次対応予定となる。

 さらなる通信エリア拡大に向け、山間部や離島などの5Gや4G LTEでは提供が困難だった地域において、スターリンクを中継回線としたau基地局を順次展開していく方針。

 既存の携帯電話の周波数帯を使用することから、ご利用中のauスマートフォンのまま衛星と通信が可能。家族や友人との連絡手段として、災害時や緊急時にも存在意義を見出す。

 両社は、世界各国の通信事業者とも協力し、海外渡航時においても本サービスが利用できるよう検討している。

乗鞍岳にて衛星通信サービスの運用開始

 KDDIは2023年8月26日、衛星ブロードバンド「スターリンク」をau通信エリアの中継回線として利用する5G基地局の運用を開始した。「スターリンク」をau通信エリアの中継回線として利用する5G基地局の運用は初の試み。

 初めての基地局として選ばれたのは、登山客に人気の岐阜県高山市の乗鞍岳畳平バスターミナル(標高2,702メートル)となる。 従来、乗鞍岳畳平バスターミナルをはじめ山間部では、光回線の敷設が困難とされ、遠く離れた麓の基地局から通信エリア対策を実施していたが、地形条件や天候によっては電波状況が不安定となる場合も多く課題となっていた。

 バスターミナル内に「スターリンク」を中継回線とした基地局を新設することにより、通信サービスの提供が難しいとされていた山間部においても、5Gでの高速通信が可能に。緊急時の通信手段としてだけではなく、キャッシュレス決済や、リアルタイムでビデオ通話を楽しむことができるようになる。

世界に広がる「スターリンク」のサービス

 KDDIが提携するスペースX社は、Twitterから「X」への名称を変更したことで注目を集めるイーロン・マスク氏によって2002年に設立。 世界を代表する航空宇宙企業であるスペースX社はすでに5,000基以上の衛星の打ち上げに成功しており、「スターリンク」のサービスは世界60カ国以上で提供されている。

 低軌道で周回する世界最大の衛星群を活用し「スターリンク」は、世界中のユーザーに高速で低遅延のインターネットを実現。多くの情報やデータをスムーズに送受信することが可能となり、ストリーミング、オンラインサービス、ビデオ通話などをサポートする重要な役割を果たしている。

関連リンク:https://biz.kddi.com/solution/starlink/

  • #携帯キャリア

関連サービス・商品のボイスを見る

全コメント

投稿したコメントの編集・削除はできません。